4/30(木)に放送した 「さとう広典の気になる数字」で、新型コロナウイルス危機と中小企業の直面している苦境について、お話しさせて頂きました。以下のリンクから、ぜひ聴いて下さい。
3月末に、全国の中小企業経営者7228名にアンケート調査を行い、「新型コロナウイルス感染拡大が、いつまでに終息すれば、経営的に乗り切る事ができるか?」と質問した所、3月末・4月末・5月末までの回答の合計は44%でした。このアンケート調査は、エヌエヌ生命という企業の調査です。
そして、6月末までに終息すれば、経営的に乗り切る事ができると答えた企業の割合は、15.5%でした。つまり、6月末をすぎると、59.5%の中小企業が経営的に行き詰まってしまうという事になります。
中小企業とその雇用を守る為にも、緊急事態宣言が出されている期間は、一定期間毎に、企業と個人への給付金を実施する事を決めると同時に、政府と金融機関からの融資の拡大をして、中小企業が持ち堪える事ができるように、資金的な手当てをする事が不可欠です。
2020年の国民負担率は44.6%です。いつも、収入の半分近くを政府に取られているわけですから、今回のような危機の時こそ、政府が企業や国民を救うべきです。
今回のアンケート調査では、資金繰りの対策を行った中小企業に金額を質問しているわけですが、「資本金の50%以上」と回答した割合が25%、「資本金の25%以上、50%未満」と回答した割合が12.7%もあります。それだけ、多額の資金難に陥ってしまっている中小企業が増えている事がわかります。
中小企業の資金繰りについて、日本銀行が出している日銀短観の2020年3月の「資金繰り」の状況を見ると、「宿泊・飲食サービス」業界はマイナス37、「繊維」業界はマイナス18と極めて厳しい状況になっております。特に、「宿泊・飲食サービス」は、昨年12月の調査時点でも、マイナス10と資金繰りが厳しかったんですが、3か月で、そこからマイナス27も下がっております。これは緊急支援が必要です。
金融機関については、2月28日に、金融庁が「年度末における中小企業・小規模事業者に対する金融の円滑化について」という要請を金融機関に出しました。そこでは、「新型コロナウイルス感染症により影響を受けた事業者に対し、関係機関とも連携しつつ、きめ細かな事業者支援のため、金融機関が事業者を訪問するなど、丁寧かつ親身になって経営相談に乗るとともに、事業者からの経営の維持継続に必要な資金の借入の申込みや、顧客からの貸付条件の変更等の申込みがあった場合には、適切な対応に努めること。」と記載してあります。
また、金融機関から金融庁への「貸付条件の変更実施状況の報告」報告も、再度、義務化されました。これは、融資条件変更の申込や実行、謝絶件数を金融機関に報告させ、各金融機関の取り組み状況を確認していくものです。これは、元々、2009年12月に施行された金融円滑化法のもとで、金融機関から報告を求めていたものです。中小企業とその雇用を救う為にも、中小企業金融円滑化法を時限立法で成立させ、中小企業を救うべき時だと思います。
金融円滑化法は、融資を受けている企業が、返済が苦しくなった場合、様々な方法で返済負担を軽減する事ができます。例えば、これまで、金融機関と相談して、利息だけ支払って、元本の返済を止める、返済猶予などを実施してきたんですね。その際、金融機関から、金利を上げたり、追加の担保や保証人を、一方的に要求できないという内容も含まれておりました。
これから、新型コロナウイルスの危機が終息するまで、一定期間毎に、大規模に、企業と個人への給付金実施と、金融機関への資金注入を行う事が必要です。多くの企業を救えば、雇用を守る事もできます。何としても、国も地方自治体も、全力を尽くして、国民の生命を守り、新型コロナウイルスの危機を乗り越える事が必要です。
〇FMふくやまで、毎週木曜朝7:50頃から「さとう広典の気になる数字」を放送しています。これからも、皆さんと一緒に、数字を切り口に色々な問題を考えていきます。
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