政 策 >>> 財政委員会・2006/06/15
◆ 入札参加資格の見直し
◆ 落札差金の使い方


○佐藤委員
 今回提出されている契約案件で、港湾局が起工局になっている「平成 18年度東京港臨海道路(U期)南北水路横断橋(仮称)鋼けた製作・架設工事請負契約」について、伺います。この案件は、予定価格の約 57%という金額で落札されました。入札経過調書にも、以下のような記載があります。「株式会社横河ブリッジの第1回入札については、調査基準価格を下回る入札をしたため、落札の決定を留保し、 13財経総務第 126号通知に基づき調査を実施した。調査の結果、当該入札により、契約の内容に適合した履行がなされると認められたので、 4月 28日付で、株式会社横河ブリッジを落札者と決定する。」

 この調査は、低入札価格調査制度といい、常設の委員会を設けて、履行の確保がなされるか調査するために、審議を行うものです。調査を行う対象は、例えば、建築工事に関しては例えば 5億円以上、土木工事に関しては4億円以上の案件について、入札された価格が調査基準価格より下回ったとき調査を行うとのことです。同時に、「低入札価格審査委員会要綱」によれば、メンバーは次のように規定されております。委員長は財務局長であり、委員は、財務局の経理部長、契約調整担当参事、経理部契約第一課長、経理部検収課長、契約調整担当副参事、建築保全部技術管理課長(低入札価格審査委員会)、に加え、起工局の課長です。

 低入札価格審査委員会の審議状況に関して、伺いますが、平成 17年度は、何件の調査を行いましたか。また、その結果を教えて下さい。

○山本契約調整担当部長
 平成 17年度は 35件の調査を行っております。いずれの案件についても履行可能と判断し、審査の対象者を落札者としております。

○佐藤委員
 平成 16年度はどうでしょうか。何件の調査を行いましたか。また、その結果を教えて下さい。

○山本契約調整担当部長
 平成 16年度は 28件の調査を行っております。どの案件も履行可能と判断し、審査の対象者を落札者としております。

○佐藤委員
 低入札価格審査委員会の活動状況はわかりました。平成 17年度、財務局が契約を行った件数は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約の合計 776件、うち一般競争入札と指名競争入札の合計が、 598件とのことですから、随意契約を除いた入札件数の約 5.9%が、最低制限価格を下回っているという状況です。適正な履行確保のため、引き続き厳正な審議をお願いします。

 今回の契約案件には、昨年の橋梁談合で、指名停止を受けた企業が多く入っております。
 これらの企業は、他府県、例えば、岩手県においては、 13社中 11社の企業が、 2006年の夏まで 13ヶ月か 14ヶ月の期間、指名停止になっております。また、残りの 2社のうち 1社も、親会社が指名停止となっています。都の発注工事ではなかったため、都の指名停止期間は、 6ヶ月もしくは、 7ヶ月でしたが、今後、事件が起きた場合、新しい指名停止措置要綱に基づいて、厳正な対処をお願いします。今回の契約案件は、競争が働いた入札ではありましたが、昨年の事件のような、過去のしがらみを引きずり、逆戻りすることがないよう、過去を精算する必要があるのではないかと思います。

 さて、今回の入札に参加した企業を調査しまして、非常に興味深いことがありました。といいますのは、資本提携関係です。有価証券報告書から、入札参加企業の株主構成を調査した所、平成 17年 6月 28日もしくは、 6月 30日、3月 31日の時点で、 13の入札参加企業のうち、 5つの企業でお互いに、有価証券報告書に記載されるほどの、大株主としての直接の資本提携関係がありました。大株主のリストのベスト5に入る会社が▲ 5社、ベスト 10に入る会社が▲ 1社あったわけです。

 このような入札参加企業の資本関係について、都がいかに把握しているかといいますと、現在、入札に参加するためには、 2年に 1回、「競争入札参加資格者名簿」に登録する必要があります。現状では、資本関係に関しては、議決権の過半数を他の企業が持っている場合、記載する必要があります。そして、 50%超の議決権がある親会社と子会社が、同時に入札に参加することができません。

 国においては、国土交通省の通達であります「平成 16年 3月 30日付国地契第 89号、工事の発注に当たっての建設業者の選定方法等について」には、親会社と子会社、そして、親会社を同じくする子会社は、同時に入札に参加できないという旨が出ておりました。

 一方、地方自治法第 234条第 6項には、「競争入札に加わろうとする者に必要な資格、競争入札における公告又は指名の方法、随意契約及びせり売りの手続きその他契約の締結の方法に関し、必要な事項は政令でこれを定める。」とあります。
そこで、伺いますが、都において、入札参加者の資本関係の記載と入札排除について規定した条文や要綱は、何になるでしょうか。

○山本契約調整担当部長
 東京都契約事務規則に基づいて入札参加登録の公告を行っておりますけれども、この入札参加登録の申請手続きを定めた資格審査の手引きにおいて 50%を超える議決権のある会社の記載を求めております。また、入札における公正な指名の確保を図るため、同一の入札においては、この議決権のある会社の同時参加を認めないこととし、財務局長通知で関係局に周知を図っております。

○佐藤委員
 都では、どういった根拠をもとに、資本関係が 50%という基準で、入札の制限を行っているのでしょうか?

○山本契約調整担当部長
 旧商法第 211条の 2、第 1項及び第 3項の規定では、有効な支配権が成立する議決権の割合は 50%超とされていたため、 50%を基準としております。この支配権の考え方は、新しい会社法第 2条第 3号及び第 4号の規定にも引き継がれております。

○佐藤委員
 商法では、 50%超の議決権を持っていれば、「子会社」とみなされますが、財務諸表等規則によって 20%以上の議決権を持っている場合などは、「関連会社」とみなされております。
仮に、親会社と関連会社が、同時に入札に参加をしていた場合、そのいずれかの企業が落札し、利益を得ても、連結財務諸表に反映されるわけです。

 今回参加している企業の中には、関連会社となるものはありませんでしたが、今申し上げたように、大株主として、資本関係がありました。大株主には、経営状況の報告も、積極的に説明するのが通例ですので、経営状況をつぶさに知ることができます。

 平成 18年 5月 1日施行の会社法 433条でも、発行済株式もしくは議決権の 3%以上を保有する株主は、会計帳簿の閲覧を請求する権利があると規定されています。今回の 13社の企業のうち、実に 5社が帳簿の閲覧権を持っています。つまり、橋梁の業界で仕事をしているライバル企業の経営内容をつぶさに把握することができるわけです。

 もちろん開札の時点まで、入札に参加している企業名はわかりませんが、橋梁業界に携わる大手企業が限定されていること、そして、今回の入札公告を見ることで、参加することのできる企業が、ある程度限定されることを考えれば、入札参加企業が絞り込めてしまいます。経営に影響を与える大株主と入札で競合している現状を放置しておいて、はたして、今後も公正な競争を続けることができるだろうかと思います。

今回の入札参加企業の多くが、昨年指名停止を受けているわけですが、過去のしがらみに逆戻りしないためにも、現状の制度を改善し、記載義務の範囲を変え、入札参加排除の条件を変えることで、引き続き、適切な競争をうながす必要があるのではないかと考えます。未公開企業は、実情がわからないという意見もあろうかとは思いますが、わかる範囲で、業者にも申告して頂き、制度を改善していくことが必要であろうと考えます。

 そこで伺いますが、入札が排除される資本割合についても、子会社である 50%超から、関連会社である 20%以上、もしくは、大株主上位 10社に変更し、適切な競争をうながしてはどうかと考えますが、財務当局の見解を伺います。

○山本契約調整担当部長
 先ほどお答えしたとおり、 50%を超える議決権がある場合は、会社間の親子関係が明白で公正な入札が阻害されるため、同一入札の参加を認めておりません。これを下回るものにつきましては会社間の支配関係が成立していないため、同一入札に参加を認めないことは企業の営業活動を必要以上に制約するものと考えております。

○佐藤委員
 財務局とは見解が違うようですが、大株主としての株の保有や関連会社としての状況を、「競争入札参加資格者名簿」に記載することを義務付けるとともに、入札公告にも、排除要件として記載頂くよう、要望致します。他府県の事例はありませんが、都が、他に先駆けて、取り組むことが必要であろうと考えます。

 今回提出されております契約案件は、 3つありますが、契約金額の合計が約 49億 9千万円であり、それに対して、総額で約 19億円近い、落札差金が生じております。平成 16年度の一般会計決算は、およそ 6兆 33億円ですが、東京都決算参考書によると、落札差金について集計すると、各局が流用した後、最終的に差金として残っているものが、一般会計全体で、約 101億円にものぼっています。また、平成 15年度落札差金は総額約 108億円、平成 14年度落札差金は総額約 77億円になっております。一般競争入札が増えれば、落札差金自体も増えていくことと思います。こうした差金は、事業を執行していく過程において、予算の流用とともに使われることがあるそうです。

 議決科目である款や項とは異なり、目や節は、執行科目となっており、流用や差金の使用は、執行機関の判断となりますが、これらも議決予算の内容を構成するものです。

 これらについては、予算事務規則や、今年度の予算執行についての依命通達にもあるとおり、流用や落札差金の使用は原則として禁止されており、例外的な場合にのみ使えることになっています。しかしながら、実態は、全庁分で集計して頂きましたが、「目」の間の流用総額は平成 16年度で総額 290億円にものぼります。これに加え、「節」の間での流用もあるわけですから、かなりの金額に上るわけです。本来、例外的な使用に限られるわけですが、実際に使われている金額としては、非常に大きいことがわかります。

 予算事務規則や通達によりますと、こうした例外的な取扱いを行う際には、各局長が財務局長と協議し、各局長が決定することになっており、出納長にも通知することになっています。予算事務規則第 20条では、「歳出予算の経費の金額は、各目の間または各節の間において相互にこれを流用することができない。」と規定しています。しかし、第 2項は、「前項の規定にかかわらず、局長は、歳出予算の執行上やむをえない場合に限り、財務局長に協議のうえ、各目の間または各節の間において相互にこれを流用することができる。」ことを定めています。

 今、お話をしてきたように、原則として、流用は禁止されているにもかかわらず、実質的には、各局の裁量で、差金の使い方を決め、流用しているという状況です。しかも、その金額は、平成 17年度補正予算のうち、「緊急課題への対応として措置した 279億円」と比較しても、非常に大きい金額といえます。流用や差金については、しっかりと金額を把握し、税金の適切な執行に努めて頂きたいと思います。

都は第一次、第二次の 2つの財政再建推進プランにおいて、予算編成における巨額の財源不足に対応するため、予算の削減を課題としてきました。第一次プランで 5200億円あまりの財源確保を達成し、今年度で終わる第二次プランも平成 18年度予算までで 2800億円あまりを確保したとのことです。こうした財源確保についての取り組みは、今後も引き続き努力して頂くとして、これからは予算を執行していく段階で、いかにして無駄を省いていくかということが、大きな課題となってきます。先程、申し上げました落札差金は、公正な競争の結果であり、財政再建の貴重な財産だということをしっかりと認識して頂きたいと思います。

 今後、少子高齢化の中、持続可能な財政運営を行うためには、各局が予算の使い方を工夫し、政策目標の実現と、財政再建の両立を図る必要があります。そのためには、「余ったから、使う」という発想ではなく、各局が規律を持った事業運営していくことが求められております。原則として禁止されているにもかかわらず、年間でこれだけの金額、流用されているわけですから、制度的の本来の趣旨に立ち返ることが必要と考えます。今年度からの複式簿記、発生主義会計の導入を機会に、流用のあり方について、さらに厳しい運用を行うべきだと強く要望致します。

 差金や残金については、財務局と各局がしっかりと協議し、財政再建のために役立てるよう努力するべきではないでしょうか。財政再建するためには、財政運営の分析が不可欠です。

 今後、実態の把握と分析に取り組んで頂き、 17年度決算においては、こうした点も踏まえて、都民にわかりやすい形で税金の使途について丁寧に説明して頂くことを要望するものです。持続可能な財政運営を行うためにも、今後も、公正な競争をうながすよう努力して頂くことを要望致しまして、以上で、私の質疑を終えたいと思います。
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